ものすごく家庭的な文章
壁っていうのは、物心ついた時から何となくそこにあって
積み木を組み立てていても、カブトムシを探しに出かけても、日が暮れれば家に帰るように、壁を見つけたら当たり前のように折り返していた
でも、本人は壁があるから折り返してるんじゃなくて、あくまでも日が暮れたから家に帰る感覚でいる
それはいつになっても変わらなくて、勉強をしていても、部活をしていても、壁を見つけたら越えようとせずに引き返していた、だって家の味噌汁はいい出汁がでてるから
ただ一つだけ変わることは、守護霊みたいだったその壁がだんだんはっきり見えるようになってくる
じゃんけんで、相手が3回連続グーを出してきたら、こいつはグーしか出さないんじゃないかって思うみたいに
そして、いつの間にかその壁が、寝床で飛び交う蚊みたいに、少々目障りになってくる
たぶん、自分は今そんな状況だ
これから、夜中にわざわざコンビニにキンチョールを買いに行くのか、諦めて、顔の形が変わるのを覚悟してだんまりを決め込むか、選択しなければならない
畜生、この壁が冷蔵庫のドアみたいにザパっと開いてくれたらいいのに