冷凍ギョーザ

世間では、あるいは少なくとも新聞紙上では、ギョーザの話題で持ち切りだ。中国の天洋食品が加工した、冷凍ギョーザから有機リン系殺虫剤のメタミドホスが検出された。実際に千葉市兵庫県高砂市の家族が被害にあっている。


各紙を読み比べてみると面白い。読売新聞は、徹底的にメタミドホスが混入した原因を、中国の加工工場の製造工程や検疫結果などを詳細に掲載している。さらに、梅田で繁盛している餃子専門店の売り上げ減少についても隈なく取材できている。一方、朝日新聞は、何故そのような自体に発展したのか、12月、1月の時点で、冷凍ギョーザの異常が報告されていたにもかかわらず、未然に防げなかった制度の不備をついてる。最後に毎日新聞は、消費者、一般市民へ寄り添う姿勢を崩さず、冷凍食品において、過去にどのような食中毒の報告があったが掲載している。食品偽装が昨年跋扈したためか、各社もこぞって、綿密な取材を行っている。


その中で、感じたのは、このような一連の報道によって、どうしても読者は、中国の加工食品は以前から、衛生状態が悪く、その劣悪な状況が今回の事件で顕在化したとの印象を抱きかねないということだ。


しかし、実際には、加工工場の衛生状態は極めて良好で、特に中国から輸出する食品の加工に対しては、基準が厳格であるという。2002年に農薬残存量が基準値を越えて日本に輸出されていた当時から、大幅な前進である。そういった意味で、僕は中国の食品産業の進歩について、少なからず好印象を抱いた。読売新聞は、そのことについて、詳しく述べていた。このように、報道される情報を鵜呑みにせず、その情報を一度疑ってかかり、自分の意見、考えを深めていくべきだと思う。そして、報道機関は、勧善懲悪的な紙面を展開するのではなく、より深く広い情報を掲載するべきであると思う。


実際に中毒症状を起こしている被害者を忘れてはならない。今回の問題で、中国からの加工食品の輸入において、検査が全食品に適用できないこと、問題が昨年11月に確認されていたにも関わらず被害の拡大を防げなかったこと、49パーセント以下の含有食品について、表示義務がないということ、食品の安全について様々な問題提起がなされた。実際に、コスト、効率の面から、全食品の輸入時に検査を適用することは難しい。しかし、被害の拡大を防ぐシステム、制度作りは、今後自給率が低く、これからも食品の輸入に依存していく日本にとっては、必要不可欠であると思う。まずそこから始めるべきだと思う。