国のない男

カートヴォネガットの最後の著作となったエッセイ、「国のない男」を読んだ。彼のこれまでの哲学や持論が惜しみなく盛り込まれている。


その中でも、印象に残った言葉は、シェイクスピアハムレットについて言及した文章で、ヴォネガットはこう言った。


ハムレットを傑作と考えるのには一つの理由がある。それは、シェイクスピアが真実を語っているということだ。


真実と言うのは、われわれは人生についてはほとんど何も知らないということであり、何がいい知らせで何が悪い知らせなのかもまったくわかっていないということなのだ


わたしは、死んだら天国に行ってそこの責任者にこう尋ねてみたい。『何がいい知らせで、何が悪い知らせでした?』」


持ち前のユーモアと納得せざるを得ない論理だ。僕は、今就職活動をして、就職しようとしている。もしくは、大学院に行くかもしれない。しかし、どれが良い選択で、どれが誤った悪い選択なのかは分からない。結局のところはそうなのだ。今後の人生で、何を仕事としていきたいかについて、深く考察したとしても、それは現在における単なる気持ちや決意であって、それはいつ何時変わるかは分からない。そうならば、成り行きにまかせた方がいいかもしれない。しかし、自分の信念だけは、曲げない選択をしていきたいと思う。


ヴォネガットは終章で、自身の信念についてこう語っている


「唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。


ユーモアには人の心を楽にする力がある。


アスピリンのようなものだ。


百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う」


自分にとって唯一やりたいことは何のか?もっと見つめる必要があると思った。

国のない男

国のない男