飛行機が怖くなくなった

そんなに多くするつもりはなかったのだが,ついつい調子に乗ってあれよあれよと契約してまい,家庭教師のバイトを週3日でやっている。まだ初めて1ヶ月だから,遅刻しないように気をつけて、早めに学校や家を出るようにしている。すると、遅刻しないことはいいことなのだが,開始時間の10分前とか15分前に生徒の家に着いてしまい、特にすることもなく,手持ち無沙汰で困る。
そんな取るに足らない時間をいつも空を見上げて放心したりして潰しているのだが、いつも思うのだが、夜空の星と飛行機のライトの点滅はまぎらわしい。すごく綺麗だと思ったりしたら、飛行機のライトだったりして、がっかりする。しかし、最近飛行機のライトの点滅と星とどちらが綺麗だか肉眼ではわからないのと同様に、飛行機と星のどちらがすごいかといわれるとそれはそれでわからないものだと思い始めた。それは、「よくわかる飛行機の基本と仕組み」なる本を読んでからだ。
本著は、飛行機について何もしらない人にもわかるように飛行機が飛ぶ仕組みや構造について解説されている。この本を読んで、飛行機は人類の英知の結集であることを重々に理解した。まず、飛行機の形がすでに飛行機が安定して飛行できるよう、設計されていることに驚いた。当たり前といえば、当たり前なのだが、けれど、その安定を確保する仕組みが凄い。旅客機に使われているジャンボジェットは主に、飛行機の中央付近についている主翼と後方についている垂直尾翼と昇降舵の3つの翼で構成されている。その3つの翼の形や動きで、飛行機は浮き上がる力の揚力と真っ直ぐ進む力の推力を調整している。例えば主翼は、飛行機の胴体から水平ではなく、少し上に反るようにして取り付けられている。この少し上に反る取り付け方が、飛行機の体勢が崩れた時に自動的に元の安定した体勢に戻るように計算されているのだ。例えば、飛行機が乱気流などにより、進行方向に対して右下に横滑りしたとする。すると、飛行機も時計回りに少し回転するのだが、この時に、両方の翼が上に反っているので、右翼は地面に対して水平に近づき、左翼は地面からの角度が大きくなる。この地面に対する角度の違いにより、左翼よりも右翼の方に大きな揚力が発生し、結果として、飛行機は反時計回りに回転し、もとの安定した体勢に戻るように設計されているのだ。
驚くべき自動安定機能。正直言って、これまで飛行機に乗るのが怖かった。離着陸時に、振動や轟音を体感する時はいつもほんまに大丈夫かと訝っていたし、飛行中に少しでも揺れたら、墜落しないかと心臓をバクバクいわしていた。けれど、飛行機の仕組みを理解してみるとそんなに心配するもんでもないものだと思った。飛行機は実験に実験を重ねて安全に作られている。
もう一つなるほどと思ったのはやっぱりジェットエンジンだ。エンジンは飛行機の心臓部分であるのは間違いないのだが、その多機能さに驚いた。燃焼させた気体を噴出することにより、飛行機の推力を得るだけでなく、飛行機内の電力はすべてエンジンのから発電されるし、その熱を利用して、客室の暖房、客室に与圧もしている。さらに、空気がエンジン内に入り、圧縮、燃焼し、エンジンから排出されるまでのいかに効率化するかの仕組みも圧巻だ。無駄な機構がなく、エンジンに取り込まれた空気が、自然に圧縮、燃料と交じり燃焼するような構造となっている。このエンジンもわずか100年ほどの飛行機の歴史の中で急速に進歩した部分だろう。
こんな感じで、飛行機の仕組みを知ることでその安定性を知り、飛行機に対するイメージがマイナスからプラスに変わった。飛行機嫌いの人にはお勧めの一冊である。

図解入門よくわかる最新飛行機の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)

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